第1章 才能

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そんな僕だが実は 誰にも言ってない秘密がある。 このことに気付いたのは つい最近なのだが、 どうも自らに迫る危険を 事前に知ることができるらしい。 危険が近づいた場合、 耳の奥から響くような 上手く表現できないけど、 耳元で高周波を鳴らされた後の 耳鳴りみたいな音がする。 初めての体験は 学校の帰り道で起きた。 軽い小さな音がしたと思うが 気にせずそのまま歩いていたら、 だんだん音は強くなり 耐えきれなくなった僕は 両耳を押さえながら その場にかがみこんだ。 とたん、僕の頭上を 大きな石が通りすぎた。 もしもあのまま歩き続けていたら 僕の頭に直撃し、 命が危なかっただろう。 その場合の自分の姿など 想像したくもなかった。 それから日にちを挟んでも 小さな事だが 似たような事があった。 なぜなのかは知る由もないが 今は確信している 危険が迫れば音がすると。 音の大きさが危険の大小を表しているということも。
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