第1章 才能

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今日も帰り道 誰かに石を投げつけられた。 力のおかげでそれが命中することはなかったが 投げつけた当の本人は 後ろから来た石を避けた僕を 気味が悪いと罵った。 この力の不気味さは自分で分かっていた。 分かっていたから、堪えた。 それを逆手にとられてると言われたらそうなのかもしれない。 だけど、そうやって何かに目を瞑る自分の性分ってものは簡単にはかえられない。 しかし、 こんな生活がいい加減嫌になっていた。 終わらない戦争で疲弊した国は 財政破綻寸前で最近また税率を上げた。 国民の怒りの声が飛び交い 誰しもピリピリするこの情勢が 石を投げた彼の性格まで変えなかったと誰が断言できるだろうか 国の終わりを肌で感じ この国はもうダメだ、 そう思っていた。 僕が変えなきゃ。
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