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「ライー。」
ふと自分の名を呼んだ
誰かの呼び掛けに足を止めた。
「また何か考えてるの?」
小走りで駆け寄ってきた彼女は
僕のすぐ近くまでくると
立ち止まってからこちらに向かい
にっと笑ってみせた。
長い髪の間から覗かせる
澄んだ瞳を見ていると
なぜだか胸がドキリと高鳴る。
僕は「ちょっとね。」と言って
再び足を動かす。
彼女はニーアといい、
以前に助けたことがきっかけで
今では数少ない
話し相手の一人である。
ここだけの話、
例の耳鳴りが知らせる危険は
自分のこと以外は知らせない。
つまり、彼女は
僕に迫った危険で
巻き込まれそうになり、
その事に気付いた僕が
彼女を助けたことで
親しい間柄になったのだ。
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