空に手を伸ばせば何かくれるの神様は。

3/7
前へ
/24ページ
次へ
男は悶絶した。 鼻を押さえて座り込んでいる。 「いだい……」 落下物は男のそばでうめき声をあげた。 男は驚いた。 「なんじゃ?猫?」 確かに声が聞こえたのに目の前に居るのはクリーム色で毛並みが整った小動物。 短い前足を額に当てている姿は愛らしい。 「リン?何言ってるの?僕はイタチだよ?」 「猫が喋っ……」 「イタチ!!」 男は興味津々にイタチを見た。 「ねぇリン、なんで生きてるの?」 男は怪訝そうな顔をした。 自分の名前は 「わしは伊藤勘助じゃ」 イタチは小さな目をぱちくりさせている。 「それよりここは?わしは確か病院で……死んだはずじゃ」 声のトーンが自然と低くなる。 「何言ってるの?魔王を追いかけて落ちちゃったんじゃない」 しばしの沈黙が流れた。 そして二人同時に口を開けた。 「「は?」」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加