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それを見て『リン』は言葉を詰まらせた。
そして自分の手の平を見る。
しわくちゃの手じゃなく、マメだらけの手。
視線を落とすと腰には青の装飾が立派な剣がある。
最後に自分の頬をつねり、夢でないことを確認した。
イタチは黙ってそれを見ている。
「わしゃあホントに、『伊藤勘助』じゃなく『リン』なんじゃな」
『リン』はフッと笑い、改めてイタチを見た。
「決めたぞ。ワシがリンの代わりにまおーを倒す。どうじゃ?」
イタチは小さな目をパチパチさせている。
「……ホントに?」
絞り出すような声に『リン』は笑って返した。
「折角若返ったんじゃし、やることもないしのう。まぁ、まおーのことは教えてくれにゃいかんが」
イタチは目を細めた。
「ありがとう。……リンのことも、全部ちょっとずつ話すよ」
風を味わうようにイタチはしっぽを揺らした。
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