エリート ～適者生存～

屋上からの風景

まるでどこかで指揮者がタクトを振ったかのように、

まるでおっさんの死が何かの号令だったかのように、

事故った車の扉が一斉に開かれ、中から人が降りてきた。
同時にうずくまっていた何人かも一斉に立ち上がり、通りに面していた店々からも一気に人が列になって出てきた。

その全てが俯き、虚ろに、無秩序に辺りをフラフラとぶらつきだした。
いや、蠢いていると言った方がいいか。

ざっと50人はいよう。
いや、50匹…？

その異様な光景に呆気に取られていると、遠い悲鳴が聞こえて、ある店から別の男性が飛び出してきた。

その人は他の大勢とは違い、明確な意思をもって走っていた。逃げているのだ。

しかしその男性は通りに出た瞬間にそこにいた人に捕まり、上から両の拳を降り下ろされ頭が弾けた。

また別のところでも悲鳴が聞こえ人が飛び出してきたが、一瞬で大勢に群がられ何も聞こえなくなった。

ここで俺の脳は限界を迎えた。