屋上からの風景

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俺はダッシュで屋上へ出るドアの所まで行き、ドアを背にしてうずくまった。 なんだ!? なんだ!? なんだ!? 俺は何を見た!? 夢か!?CGか!?ショーか何かなのか!? …違う!あれは現実だ! 混乱して全然整理がつかない。そのくせ、今起こったことが現実だということはちゃんと理解できていた。 俺はどうしていいかわからなかったが、下の階に降りることだけはしたくなかった。 今一体なにが起こってるのかは理解できない。とにかく普通じゃないことだけは確かで、どうも自分と同じように普通らしい人が、次々と殺された。 あの地上を蠢いていた奴らは、腕の一振りで人を殺してのけた奴らは、どう考えても普通じゃない。遠目に見てもハッキリと異様だとわかった。 そして今地上は、そいつらで溢れかえっているのだ。 その光景はまるでいつか見たゾンビ映画そのものだ。 突然人々がゾンビになってしまう映画。突然人々がゾンビとなって人を襲う映画。 まるで馬鹿げているとは思ったが、余りに鮮烈にその映像が蘇ってくる。 あの瞬間まではいつもと同じ日常だったのに、突然そうなってしまった。 突如地上は、化け物で埋め尽くされてしまった。 だとしたら、俺はデパートの中に戻る勇気もない! 頭に鮮烈に浮かんでくるゾンビ映画の映像が、室内に入ることに警鐘を鳴らしていた。 混乱しているのに不思議と思考は働くもので、だがしかし、身体は何も言うことは聞かなかった。 俺はうずくまったままそこから動けなくなってしまった。
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