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この屋上に来た時は日没だったのに。あの頃がはるか昔のような気がする。
俺はある期待のようなものを胸に、地上を見下ろしてみた。
そこで見えた光景は
やっぱり例の化け物がうろつく変わり果てた街の姿だった。
事故の炎はとっくに消えてしまっていた。
なんだ、ゾンビが日の光に弱いなんて、嘘か。
俺は一気に力が抜け、その場に寝転がった。
太陽がでてる間も安全じゃないとすると、もう完全に閉じ込められた。
見上げると真っ青な晴天で、暖かな日の光が射してくる。
やはり人は本能には逆らえないのか、最後の希望が打ち砕かれた途端、だんだん睡魔が襲ってきた。
いつあのドアを開けて、化け物がやってくるかわからない。
でも、もうそれでもいい。できるなら寝てる間に殺してほしい。
俺はそう思い、ゆっくりと瞼を閉じた…
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