屋上からの風景

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夕陽が世界を緋色に染める。そんな美しくも当たり前の風景が、その日はどこか違っていた。 まるで沈む太陽が地平にぶつかり粉々に砕けたように、日没と共に突然黄色い粉末が広がって視界を曇らせた。 夕陽に照らされた世界は、黄土色のザラメをふりかけたように濁ってしまう。そしてその濁りは、在りし日常をまるごと逆さまに傾けていくのだった。 街で一番大きなデパートの屋上で夕陽を眺めていた少年は、計らずも、世界が傾いていく様を俯瞰で見ていた。
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