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なんと驚くことに、一番最初に歩道に飛び出してとっくにグチャグチャになった車から、人が降りてきた。
おいおいマジかよ!?
俺は眉間にしわを寄せ目を細めて注視した。
全身火だるまのその人は、ゆっくりとした足取りでそのままフラフラと歩いて路地に消えていった。
え?
余りに嘘のような映像に、夢でも見ているかのような気分になった。
明らかに人が生きていられるような事故じゃない。
いや、生きていたとしても、あんなに普通に歩けるのだろうか?
だいたい、火だるまになっているのにしてはやけに落ち着いた雰囲気だった。
ああいう時ってもっと叫んだり転げ回ったりもがいたりするものかと…
屋上から見ていたせいか、まるでミニチュアの劇を見ていたかのようでリアリティがない。
この状況に明確な説明をつけられないまま、俺は次の異変に気づいた。
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