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これだけ大きな事故が起こって暫く経つのに、人が全然集まってこない。
通りに人はいるのだが、何故かみんなうずくまったままだ。
俺は屋上から眺めているだけだけど、やっぱり近くにいる人は恐怖や驚きで動けなかったりするのだろうか?
そんなふうに思っていたら、一人のおっさん、遠くてよくわからないが、恐らくスーツ姿のおっさんが事故現場に歩いてきた。
状況が飲み込めない様子で、随分オロオロしている。
まぁ、そうなるはな。
俺はおっさんの慌て様に思わずニヤリとしてしまった。
おっさんはやがて近くでうずくまっている人に声をかけた。
心配なのか、状況を知りたいのか、とにかくうずくまっている人の肩を揺さぶってみるが、全然反応してくれない。
するとおっさんはその人を更に激しく揺さぶった。
おいおいおっさん、怖がってる人に対してそれはないだろう。空気読めよ。
そう思っていると、おっさんの頑張りが届いたのかうずくまっていた人がやっと立ち上がった。
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