飼育員の手記

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Jan. 11/2xxx (Mon.) 天気:書けるもんなら書きたい 今日、『実験』とやらがあった。 八時頃、朝飯を準備し始めた頃に防護服を着た女性職員が入ってきて、『第五号実験を実行致しますので、396号をこちらに』とか言って、部屋の隅でビビって固まってたサクラ(昨夜寝る前に命名した。本人は何故か殴ってきた)の腕を掴んでよくわからん薬を注射した。その直後からサクラの目がとろん、としてきて、部屋の外に待機してた担架に載せられた時には一言も発しなくなってた。 後で訊いたら、あの薬は依存性の弱い覚醒剤の一種で、この場合は自意識を薄れさせるために使うが、媚薬的効果もあり、アジアでは普通に出回っている、とのこと。 サクラが運ばれてった後、俺は俺で目隠しをされてモニタールームに通された。 メインモニターには椅子に拘束されてヘッドフォンを着けられたサクラが映っていて、その隣のやや小さめのモニターにはヤキマ陸戦場らしき交戦場を上から撮った映像が映っていた。 小さめのモニターの中では、Johnson&Antonio社の最精鋭陸戦HA隊『チーム・アンタレス』のスコルピオン二型らしき機体が数機と、クーロン・カムパニーの反牙32が戦闘中だった。勿論、アンタレスが優勢。 隣にいた事務系らしき職員に実験内容を訊いたら、『何か知らんが大量破壊兵器の実用試験らしい』とのこと。彼も俺と同じ境遇らしい。 しばらくして、陸戦場の映像が変になった。 変、というか、陸戦場全体の色が抜け落ちたような感じになった。 その後、すぐに画面がブラックアウトした。 同時に、サクラが身体をガッタガッタ揺らし始めた。てんかんにかかったガキみたいにびっくんびっくん痙攣。 まさか死にゃしねぇだろうな、とか考えてたら、急に痙攣が治まって、代わりにブラックアウトした画面にHAが映った。アンタレスのスコルピオン、確か『ニンジャのクリハラ』の機体だったと思う。 映ってすぐに、どこからともなく撃たれて蜂の巣になって爆散した。 その時、サクラは痙攣こそしていなかったが、時々叫ぶような表情になったりしていた。 同じように次々と両社のHAが喰われ、スコルピオン二型SC、『首斬りタカナシ』の機体が最後に映った。 映ったが、何故か長い時間無傷で動き回り、他と違いコックピットを全くやられずに沈黙した。 ……あ、字数が足りない。残りは明日書こう。 今日の夕食:不味い
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