飼育員の手記

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Jan. 16/2xxx (Thu.) 今日の天気:また曜日間違えた……日時感覚狂うわ 実験があった。最悪だった。 朝、職員がサクラを連れていき、後から俺も連れてかれた。 今日はヤクを打たずにやる実証らしく、サクラは部屋で目隠しされて、両肩を職員に掴まれて連れてかれた。宇宙人に連れ去られてるみたいだった。 サクラには昨夜の内に筆談で伝えてあったが、怖かったんだろうな。実験開始直前に、助けて、なんて口走ってた。 今日の相手は、J&A社の『ベテルギウス』隊と、ホーベルクーレ社の『ヴァルキリー』隊。機体は、J&Aはコブラ二型のCT一機とHMが五機、天山SC、ホーベルクーレはコスタバワーのノーマルが八機。SCの付加名でわかる通り、ベテルギウスにはタカナシが参加してた。他にエース級は見当たらなかった。戦場はどっかの山だった。 実験は前回とほとんど同じように進んだ。 前回と違ったのは、痲酔がかけられてないサクラが苦痛に耐えられず絶叫、失禁したこと。 思わずやめろ、なんて叫んじまってピストル突き付けられるくらい、残酷に見えた。 だが、『生体兵器の一種』とやらが作動している間は、サクラは前回と同じく大人しかった。タカナシ機をやるとき以外は。 最後、タカナシ機が画面に映ると同時に、急に嫌がるように首を振ったり、実際いや、とか、やだ、とか、譫言みたいに呟きはじめた。 その後、前回同様タカナシ機はコックピット以外をズタズタにされて沈んで、サクラの絶叫と一緒に実験が終わった。 おっちゃんは終始目を背けてた。 俺は、むしろ目が逸らせなかった。年甲斐もなくチビりかけたが。 部屋に帰った後、サクラに抱き着かれた。そのままシャツを鼻水と涙まみれにされて、そのまま寝られた。 今はベッドに寝かせてある。 時々魘されて目を覚まして眠るを繰り返してるから明日は結構辛いはず。 サクラを連れて逃げる方法はないのか。改めて思う。 今日の夕食:
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