飼育員の手記

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Jan. 17/2xxx (Fri.) 今日の天気:10lb爆弾のち5.56mmNN弾 何だよ昨日の日記。middle 2 sickness(*翻訳不能)か? 今日は朝から二人して無言だった。 時々サクラがこっちをチラ見する程度で、どっちからも話題が出なかった。 昼になって、やっとサクラから一言。タカナシがいた、とのこと。 雑誌に載ってたタカナシの顔写真を見せたら、これ、って頷いたから間違いなく『首斬り』のことだと思う。 サクラ曰く、自分の名前も出身地も親の顔も思い出せないくせに、タカナシ機をやった時に、タカナシの顔と名前がふっと頭に浮かんできたらしい。それと一緒に二人でいちゃついてるところも浮かんできたそうな。 ようは生き別れの兄もしくは恋人、ってやつだろう。 タカナシについての次は、一番聞きたくなかった戦闘?中の記憶。 本人もよくは覚えてないらしいが、ヘッドフォンを掛けられてしばらくすると何か気分の悪いオルゴールみたいな音楽が聞こえて、それがだんだん持続音みたいに聞こえはじめて、いきなり首と後頭部に激痛が走り、気付いたら戦場のど真ん中にいた。周りのHAが襲いかかってくるのとほぼ同時に、"自分から体を動かしている感覚はあるけど自分から動こうとしたつもりは一切無いのに"敵をフルボッコにした。最後のタカナシ機の時は前述の通り、とのこと。 で、一通り喋り終えたら急にまたしがみついてきて、俺のシャツがまたもや涙と鼻水の洗礼を受けた、と。 サクラの話と実際に見た光景とを併せて考えると、『ある種の生体兵器』とやらは多分、人の脳神経を媒体にして、人の感覚まで狂わせるようなジャミング波、いや、人の感覚を狂わせるための感覚阻害波を発生させ、敵に正体を覚らせずに遠距離兵器か何かで攻撃する兵器だと思う。 ……いや、それだとサクラが戦闘の風景を見た方法が説明できないか。 まあ、非人道的、って類いのシロモノには変わりないだろう。 馘になったり死んだりせずにあれを殺る方法は無いものか…… 今日の夕食:サクラのは和食セット、俺は食わなかった。
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