現実に飽き飽きした君へ

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月の綺麗な夜に眠りにつくと、運がよければ夢の国への道を見つけることが出来るらしい。 夢の国というのは、君の嫌いな暇や退屈を根こそぎ奪ってくれるとても素敵な楽園のことさ。 君がこれから私の言う戯言を信じて進んでくれるというのならば、私は精一杯、君の手助けをしようと思う。  まずは真っ赤なレンガの道を辿って、遥か先に見えるお菓子で出来た階段を目指そう。 おっと、その間に眠りから覚めてしまうと、全てを忘れてしまうから注意をすること。 おせっかいなお母さんやお父さんに起こされることもなく、五月蝿く喚く鶏の声に邪魔されることも無く、先にあるお菓子の階段までたどり着く事が出来たのなら、君は相当運が良い。 もしかすると、夢の国が君の事を呼んでいるのかもしれないね。 ホワイトケーキで出来た段差、ねじ巻きパンの手すりのついた見るもおかしなお菓子の階段は、決して食べてはいけないよ。 もし食べてしまったのなら君の大冒険もここでおしまい。 運がよっぽど良く、お菓子の誘惑にも勝てる賢い子だけが、階段を上った先にある城下町への入り口にたどり着く事が出来るのさ。
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