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「たぬきか!?しゃべれるんか、や、夢か?」
たぬきは大儀そうに、
「夢や無い。わしはこれからお前の恩人になるものじゃ。それはの、わしがお前の母ちゃんいつも世話になっているからじゃ。パンの耳なんかもろてな。」
「そ、そうなんか」
たぬきは目を細め、
「お前、職に就けんで困っとるじゃろ。」
「そ、そうじゃ。心眼か」Mは怯えた。
「あほ。お前の母ちゃんがぶつぶつ言いよったんや。パンの耳なんか配りながらな。そんでわしがお前にプレゼントを持ってきた。」たぬきは片手で布袋を左右に振った。
「母ちゃんはお前のことを心配しとる。これをみやげに、隣町の料亭に料理人志願しろ。」
布袋には上等なマツタケがぎっしり詰まっていた。
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