逃げる為の優しさ

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ある日の事です。 彼女は仕事に行き 僕は休みでゴロゴロしていました。 電話が鳴り、受話器を取ると 彼女のお母さんからでした。 挨拶を交わした次の言葉はとても重たい内容でした。 とても話しにくい様子でしたが、 高ぶる感情を抑えながらも丁寧に… 「うちのお父さん、白血病になりました。」 「あと一年持ちません」 僕が返答に困っていると、お母さんは続けて言いました。 「真紀(仮名)に伝えて頂けませんか? 一緒に居る時間のあるときでいいから」 直接話す事を進めると、 「あの子にはとても耐え切れない話です、貴方が傍に居ないと何をするかわからないから…」 それから病状や 今後の事など、 長い話合いを終えて 受話器を置きました。
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