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長い廊下を黙って突き進んだ。途中、冷やかしや文句をつけてくる同僚と何度もすれ違ったが、全て無視した。さらに、いつ見ても豪勢なシャンデリアの下を通ると、頭上から声をかけられたがこれも無視した。すると、ガチャガチャと音がしたかと思うとハタキが振って来た。狙いが外れて目の前に落ちたそれを拾って、私はシャンデリアを見上げた。小汚い痩せ細った少年が梯の上で笑っている。私も笑い返してハタキを床に置いた。少年は頬を膨らませて文句を言ってきたが、気にせず振り返ると彼女は私に背中を向けて待っていた。近づいて肩を叩くと彼女はまた歩き出した。
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