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あかずきん
赤い頭巾の少女は問うた。
「お祖母さんの目は何故そんなに大きいの?」
ベッドに横たわったオオカミは答えた。
「それはね、お前の可愛い姿をよく見る為にだよ」
少女は再び問うた。
「お祖母さんの耳は何故そんなに大きいの?」
「それはね、お前の可愛らしい声をよく聴く為にだよ」
少女は三度問うた。
「お祖母さんの口は、何故そんなに大きいの?」
「それはね、お前を食べてしまう為にだ!!」
オオカミは一瞬にしてベッドから起き上がると、少女へ襲いかかる。
「…食べる? あたしを?」
少女はつぶやき、苦笑を浮かべた。
「あんたが?」
襲いかかるオオカミに対して動じた様子も見せず、少女は横に半歩動いただけで攻撃をかわした。
「ぬ!?」
オオカミは動揺の声をもらしつつも再度攻撃体勢に入る。
「…遅い!」
少女はオオカミとの間合いを一気につめると、その鼻先へ拳を突き入れる。
「ぐおおっ!」
突然の反撃に苦鳴をあげてのけぞるオオカミ。少女は更に踏み込み、右肘を相手の腹部へ突き入れ、続いて左の掌底で顎を打ち上げる。
「この赤頭巾の赤色は、血の赤。あなたの血も仲間に入れてあげるわ」
少女は密やかに笑みを浮かべた。
オオカミは絶望した。
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