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くいっ
誰かが服の袖をひっぱる
「ねぇねぇ、『たまや』ってなぁに?」
「あれ?春ちゃん一人?」
いつも誰かしら護衛がいるのに
「うん。大和お兄ちゃんや娘々お姉ちゃんが、ブレッドお兄ちゃんと追っかけっこ始めちゃったから」
…なるほどね
「じゃあ、お母さんとこいこっか?」
「うん♪」
清楚組のマスコット的存在の春ちゃん
「ぶるぅぅぅあぁぁぁぁあ!」
…草むらからなんか出てきたが、あえてスルーします
ピンクの髪に大きな瞳、そしてこのけもみみがなんとも可愛らしい
「ふわっ!耳は触っちゃダメなの~!」
ぷりぷりする春ちゃん
(…敏感なんだな、けもみみって)
尻尾握ったら力抜けるんだろうか?さすがに試しはしなかったが疑問だ
たまやについてお話しながらトラックへ向かうと…
「そら~♪愛してるよ~♪」
「時と場所を選びなさ~い!」
(…あちゃ~)
来てはいけない時に来てしまったようだ
「………」
トテトテと戦場に春ちゃんは向かい
「けんかしちゃ、めっ!なの~!!」
『は、春(ちゃん)?』
春ちゃんの両サイドで謝る夫婦…なんか羨ましいな、あの光景
「ふふ、春ちゃんには誰も勝てませんね」
「…だね」
「羨ましいなぁ…空さんが」
「昴…」
飢え過ぎ家は飢え過ぎ家、我が家は我が家
今でも十分幸せ…と思ってるのは自分だけだったのかな
「でも、私にもマスターがいて、司がいて、たくさんのお友達がいて…これ以上はバチがあたりますね♪」
でもなかったみたい
「お~し!このまま朝までいくぞ~!ミンナにネカセル君とサン太郎プレゼントなのだ~」
「なのだ~♪」
…もはや月見ではなく酒宴と化した祭りはハカセを陣頭に本当に朝まで続いたのだった
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