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少女。少女?
少女と呼ぶには、少し大人になりすぎているかもしれない。
もうすぐ誕生日を迎える、15歳の、女の子なのだから。
「外行きたい…。
街に行きたい…。」
普通の女の子だ。
オシャレもしたい、ショッピングにも行きたい、普通の。
ただほんの少し、他の女の子と違うところがあるだけ。
「買い物したい、遊びたい…。」
大きな瞳に、小さなくちびる。
長い髪に、年にしては少し小さな身長。
その容姿でも、『普通』ではないと言えるだろう。
しかし、美少女だって珍しくはない。
…まあこの女の子の場合は常識をくつがえすほどだが。
違うのだ。この子が普通の少女ではない理由は、こんなことではない。
「アリア様、もう少し我慢下さい。」
少女の年齢の一回りくらい上の男に、『様』付けされるほどの少女。
「あと一週間です。
16歳になれば、外へ出かけられます。
街に出られます。
ですが、それまでは、ダメなのです。
城より外に出てはならないのです。
それが、王家のしきたりです、姫様。」
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