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俺はガチャリと音を立て箸を落とし、拾うことも忘れて箸を持っていた右手で頭を押さえた。
父さんの。
所謂アイアンクロー。
「……息子さん?」
「お父さん」
「はい」
「今の言葉に嘘偽りはございませんか?」
「い、一切ありません」
俺は溜め息と同時にアイアンクローを解除して、椅子にしっかりと座り直し、父さんをじっと見る。
左手の薬指には結婚指輪をしており、未だに夫婦仲が良くたまに二人きりで出掛けたりもする。
そんな父さんが真剣に悩んだことってなんだよ。
「で、そんなこと訊いてどうすんだ?」
「んや、まぁ、ちょっと」
適当にはぐらかす。
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