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「ん、もうそんな時間か……」
神楽坂先輩はそう言ってノートと筆記用具をしまうと、小さく俺に頷いてから立ち上がり、いつかの役員さんに何かを耳打ちしてすぐに行ってしまった。
何故か残る役員さん。
漂う気まずい空気。
「朝倉、だっけ」
「あ、はい」
いや、あの、何か喋るようなコトあるか?
「その、この前は、悪かった」
「え、気持ち悪っ」
「何で歩み寄ろうとしてる奴を切り捨てた!?」
「まぁまぁ、続き続き」
見れば役員さんはまるで先輩に告白する下級生女子のように、制服の端をいじっていた。
「……はぁ、神楽坂さんに聞いたよ」
「あ゙?」
「本人は独り言だと言ってたんだが、まぁ、そういうコトだ」
あの合図はそれを伝えたかったのか。
いや、神楽坂先輩が役員さんに何を伝えたのかわかんねぇよ。
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