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「てめえには関係ねえよ。宝石はふたつある。俺はそれを使って逃げ延びる!」 怒鳴る倉木に三ツ木が、必死で食いつく。 「そんな。あれは倉木さんが計画したことだ。僕には関係ない。人形は僕のだ!」 望遠鏡の向こうで、倉木が動きを止める。 三ツ木が、倉木の背中を突き飛ばした。 影は、その様子に息を呑む。 倉木が、無抵抗のまま落下していった。 その後、影は思い出したように携帯を取り出した。 携帯画面に残る履歴に折り返しはせずに影は、携帯を仕舞う。 まだ、影には取り付けた盗聴器の回収が残っていた。 争っている内に盗聴器が屋上に落ちたのだろう、最後の会話は朧げにしか聴こえなかった。
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