一章

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各分野の特殊犯罪を取り締まるその班は、特捜班と呼ばれている。 赤石達の仕事は、誘拐、殺人、自殺、架空業者や麻薬組織の摘発であった。 標的は、東京都Y地区にある十階建ての横溝ビルを隠れ家とする架空企業『水鳥』の幹部であった。 二人が、県警に配属されて三度目の強制執行であった。 「あの時はさ。遊園地のお化け屋敷に似たような恐怖が楽しかった」 命懸けの現場に不謹慎な感情が、赤石から消えることはない。 壁が高く、分厚いほど燃える。赤石は、そういう男だ。
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