一章

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「それで、今回の三ツ木殺害事件ですね」 イサコは、手帳を見て言った。対して、赤石は頷く。 『水鳥』摘発から一年が過ぎた二千十一年二月三日の深夜。新たな事件が起きた。 東京G地区の裏路地で、男が倒れていると通報が入ったのだ。 通報を受けた救急隊員が訪れた現場には、男の遺体があった。 男の年齢は、三十代。痩せ型で長身。男は、スーツを着ており、くたびれたサラリーマンを思い浮かべる容姿であった。 遺体のワイシャツは血に塗れ、空を凝視する眼は見開かれていたという。
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