一章

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「そう。団員の半分を取り逃がした思い出したくもない事件だよ。イサコも居ただろう?」 「私の話、ひとつも出てきませんでしたけど」 二人は、物件に向けて歩き出した。 イサコは、二十五歳になる。一般女性より背が高く、すらりとした体格だ。化粧は、決して派手ではない。化粧をしなくてもやっていけると誰もが言う。 真っ黒な髪をウルフカットにし、目鼻立ちがはっきりとしている美人であった。 性格もばさばしていて前向きだ。 同僚と上手く関わりを持ち、息苦しい職場の空気を和らげてくれる存在であった。 その半面、警視庁では名の知れたイレギュラーだ。 イサコは、警視庁に配属されて二年になる。警視庁内部の空手大会で優勝したのは配属されて最初の大会での成績だった。
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