一章

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東京都H区にある米華荘。五階建アパートの二階が、三ツ木の生活の場だ。 階段入口にある郵便受けには、広告用紙が束になって挟まっている。今にも落ちそうであった。 管理人の証言では、三ツ木は先月、家賃を払わなかったそうだ。 管理人から鍵を借り、二階にある三番目の部屋に入る。 赤石は、眼に飛び込んだ光景に思わず扉の外に引き戻った。 「どうなさったんですか?」 先に部屋に入ったイサコが、振り返る。 「人形収集家とは聞いていたけど、まさかこれほどまでとはね。死体がたくさんあるようにしか見えない」
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