一章

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達磨は人形というより玩具ではないかと言っていた探偵のことを考える。赤石としては人形も達磨も同じであった。 隅の机にはキノコのぬいぐるみと鼠のマスコットぬいぐるみが寄り添う。 机の引き出しにも小さなフィギュアが溢れていた。 どれも非売品だ。 赤石には、値打ちを付けることができない。 これが、全て盗品かと思うとやりきれなかった。 赤石にしてみれば三ツ木の部屋は、人形の墓場であった。素敵だとは微塵にも感じない。 その異様な種類の人形の中に、黒い布で覆われた硝子箱があった。 その周りは、格別に綺麗に片付いている。
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