一章

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三ツ木の通帳には、殆ど残高がない。 家賃や公共料金の他に大金を引き出した形跡も無かった。 赤石は、通帳を引き出しに戻す。 通帳が入れてあった引き出しには、印鑑や保険証も入っていた。 その下の段に三ツ木の下着を見つけた赤石は、引き出しを閉める。 男物など見たくもなかった。 「会社に話を聞きに行こうか。管理人さんには現状のままにしてもらうことにしよう」 「わかりました」 二人は、株式会社柏木へと向かう。株式会社柏木は、車の部品の中継ぎ業者で、倉木が転落した柏木ビルの分家だった。 本家は、東京都の都心に存在し、コマーシャルが流れるほどの企業であった。
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