一章

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三ツ木の部屋から株式会社柏木までは、自転車で通勤できる距離だった。 社員への聴取によると三ツ木は、二ヶ月前から出社していなかったという。 連絡も辞表の提出もなく、忽然と姿を消しそうだ。 三ツ木のことは、同僚も知らないと口を揃えた。 三ツ木という男は、社交的な性格ではなかったようだ。 その上、偽名を使っていたらしい。会社では、三ツ木豊と名乗っていたようで写真を見せてやっとわかったのだ。履歴書は上手く、隠蔽(いんぺい)してある。 三ツ木は、無断欠勤が後を絶たなかったという。
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