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二人を傍観する影の横をべたついた風が通り過ぎる。 二人もこの風を感じているだろうか。 ふいに影は思ったが、彼等の感情を聞き出せる位置には居なかった。 「本当なんだよ。俺が見た時は、誰かが持ち去った後なんだ」 三ツ木は言い募る。 「お前以外に誰が持っているというんだ?」 倉木が、形相険しく三ツ木と距離を縮めて行く。 「だ、だから。俺は、一千万で人形を渡すからって――」
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