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「ただいまぁ」
チャイムを鳴らし、ドア脇のインターフォンに向かって僕は精一杯に明るく元気な声を張り上げる。
「おかえりなさい」
通話口から聞こえてくるのはいつも通りに優しいママの声。
僕の家はそう広くはないから、パタパタとスリッパの足音が数歩分ドア越しに響いただけですぐにカチャリと鍵が外され、笑顔のママが僕を出迎えてくれた。
「今日は早いのね。おやつがあるけど、お友達と遊んだ後にする?」
「ううん、今日は誰とも遊ばないからおやつは部屋で食べるよ」
「今日も?」
ママがほんの少し表情を曇らせながら聞き返す。僕がここの所ずっと、いや正確に言えばもう一年近くもの間、友達や他の誰とも遊ばないのを心配しているんだ。
「手を洗ってくるね」
僕はママの不安げな顔を見ないようにしながらその横をすり抜けて洗面所へと急いだ。
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