6人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
あの時オカマから逃げていたら、冷たい雨の中で置き去りにされていたまま、または飢えて死んでいたのかもしれない。
いや、生きていなかった、ていうのが必然的なんだけど。
だから、俺はあのオカマに感謝しなきゃいけない。
だけど、今は感謝する気にならない。
思春期の俺がそんなことできるかよ、ばぁか。
ま、だけど…
「かい兄ちゃぁん、先に行ってるよ~」
「おい、待てよ、夏鈴!」
「早くしないと遅刻しちゃうぞぉ?」
「うるせぇアニオタ」
「何ですって!?否定はしないけど!」
「女襲ってねぇで早く帰ってこいよ」
「襲わねぇよ!俺はおっさんと違うっての」
「はやくはやくぅ~」
「夏鈴、お願いだからあと30秒だけ!」
「うさぎハンカチも忘れないでねん」
「持ってくかぁ!いい加減にしろ、このオカマ!!💢💢」
「ひどぉい!ママに向かってオカマですってぇ、春香ちゃぁぁん」
「あーはいはい、元気出そうね」
「行ってきます!」
「行ってきな、シャバ小僧」
「とっとと帰ってこいよリア充!」
「海瑠くぅん、早く帰ってきてねぇん」
「キモいからやめろ」
「かい兄ちゃん?」
「今行く!」
とりあえず、今は普通の幸せがある。
それで十分だし。
続く。
最初のコメントを投稿しよう!