関西最強の男。

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「…ここか。めっちゃ汚い学校やなぁ…。」 青年は目を細めて門をくぐる。 校舎に入っていく学生の7割は、 彼の様な容姿の者が多かった。 青年は溜め息を吐きながら重い足どりで歩き、 下駄箱まで辿りついた。 「おいおい、マジかよ…?!」 「ちょっと、嘘でしょ?」 「いや、間違いねぇって!」 まるで動物園のパンダの様に指を差されて、 なんとも居た堪れない気持ちになる青年。 苛立ちをおさえつつも堪えきれなかったらしく、 下駄箱の扉を乱暴に叩きつけると、 上履きのかかとを踏んで廊下を歩きだした。 そんな殺気立った青年に、 二つの影が近付いてきた。 「おい、《八城》ってお前かよ?」 「俺達ィ、 君に話あんだけど…いいかなァ?」 耳がピアスだらけの男と、 髪をだらし無く伸ばした男が 馴れ馴れしく青年に肩を組む。 細く整えた眉をひそめつつも、 青年は答えた。 「そうやけど。 …なんやねん、お前ら。」 「俺達さァ、 ケンカが強いって称号がほしいんだけどねェ?」 嫌らしくニヤニヤ笑いながら 髪の長い男はポケットに手を伸ばす。 ギラリとポケットから顔を出したのは、 ナイフだった。 「せやからなんやねん。 悪いけど俺、関係あらへんから、 そういうの。」 「おい、シラケてんじゃねぇぞ テメェコラァ!!!!」 ピアス男は額に青筋を浮かべて 青年の顔を覗き込む。
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