遺言

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私がいつものように保健室で仕事をしていると、「ガラッ」とドアが開く音がした。 見るとそこには、あの桜田門君が立っていた。 驚きながらも彼に優しい言葉の一つでもかけようと、私は立ち上がった。 「桜田門君、あのー、いろいろ大変だったわね」 「じいさんが今まで世話になったみたいで、ありがとうございました」 いつになく礼儀正しい桜田門君に、少し戸惑ってしまう。 いつもこうならいいのに。 これなら、私だって・・・。 「こちらこそ、亀吉じいちゃんにはお世話になっちゃって」 「まあ、じいさんもあんたと一緒にいられて、幸せだったと思う」 また、あんたに戻ってるし。 でも、じいちゃんのこと話す桜田門君は、顔つきまでやさしくなっちゃってるし。 じいちゃんが亡くなったことで、改心したのかも? もうそろそろ、普通の高校生に戻りなさい。 今、私の目の前には、ただの高2の男子生徒しかいない。 私はそう思えたことで、ほっと胸を撫でおろしていた。
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