2462人が本棚に入れています
本棚に追加
/390ページ
私がいつものように保健室で仕事をしていると、「ガラッ」とドアが開く音がした。
見るとそこには、あの桜田門君が立っていた。
驚きながらも彼に優しい言葉の一つでもかけようと、私は立ち上がった。
「桜田門君、あのー、いろいろ大変だったわね」
「じいさんが今まで世話になったみたいで、ありがとうございました」
いつになく礼儀正しい桜田門君に、少し戸惑ってしまう。
いつもこうならいいのに。
これなら、私だって・・・。
「こちらこそ、亀吉じいちゃんにはお世話になっちゃって」
「まあ、じいさんもあんたと一緒にいられて、幸せだったと思う」
また、あんたに戻ってるし。
でも、じいちゃんのこと話す桜田門君は、顔つきまでやさしくなっちゃってるし。
じいちゃんが亡くなったことで、改心したのかも?
もうそろそろ、普通の高校生に戻りなさい。
今、私の目の前には、ただの高2の男子生徒しかいない。
私はそう思えたことで、ほっと胸を撫でおろしていた。
最初のコメントを投稿しよう!