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「あっ!」
ベッドの上では、女子生徒が苦痛に満ちた顔で足を抑えている姿があった。
「早く見ろよ。体育の授業で足をひねったらしい」
「うっ、うん」
私は恥ずかしさを押し殺して、彼女の足首を触った。
これって・・・。
「念のため彼女は病院に連れて行くから。あなたは授業に戻ってちょうだい」
「おうっ」
私はこれでも保健の先生なんだからね。
ちゃんと私だってやる時にはやるんだから。
私は使命感に燃えていた。
診断の結果、やはり彼女の足首にはひびが入っていた。
まあ、ざっとこんなもんよ。
って、結局私は、彼女を病院に連れてっただけなんだけど。
窓の外を見ながら、一人ぼんやり考える。
二人が入って来た時、よく見れば体操服だったわけだし。
それに、いくら桜田門君だって、そこまで大胆なわけないだろうし。
冷静さに欠けてたよね、絶対。
なんでだろう?桜田門君を見ると、ついムキになってしまう。
理由は簡単。
彼の今までの素行の悪さよね、やっぱり。
なんだか妙に納得できた。
でも、今日の桜田門君はなかなか良かったかも。
女子生徒助けるために、真剣だったしね。
それに比べて、私はまだまだ未熟だな。
「はぁーーー」
私は、空に向かって大きくため息をついた。
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