遺言

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少し頭をよぎった疑問も、深くは考えこまない。 これって私の特技かもね。 「じゃあ、妃奈子さんをお借りします」 「行ってきまーす」 なによ、妃奈子さんだって。 そんな歯の浮くようなセリフ、どの顔で言ってんのよ。 まったく二重人格なの?こいつって。 よーしっ、これからは二重人格もプラスしてやる。 でも、これだと長くて言いにくいなー。 そうだ!頭文字をとってO「女好き変態男」H「不思議君」N「二重人格」ってのはどうだ。 ははははっ、いいかも!! 車の中で、外の景色を眺めながら一人頭の中でずっと考えていた。 「おい、聞こえないのか」 突然、桜田門君の怒鳴り声がした。 思わず、体がびくっと震えた。 「えっ、私?」 「さっきから何度も呼んでるし。それにこの中は、お前と俺しかいないだろ」 なによその言い方、いやらしいわね。 OHNって本当にいやらしいんだから。 きゃー、いきなり使っちゃったわ、OHNって。 うん、うん、いいかもね。 「お前さっきからなに一人でニヤニヤしてんの?キモッ」 ううっ・・・。 それ、あんたにだけは言われたくないんだけど。
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