保健室

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中から怪しい声が聞こえる? 「ねえ、桜田門君、もう少し優しくしてよぅ~」 「ほら動くなよ」 なに?なに?なに?・・・? この怪しい会話。 女子生徒と、男子生徒と、保健室。とくれば? キャーーー。神聖な私の職場を汚さないでぇーーー!! 「ガラッ」私は勢いよくドアを開けた。 中ではベッドの周りを取り囲むように閉められたカーテンが、ゆらゆらと怪しく揺れている。 「えっ、先生?」 ドアの音に驚いた女子生徒の慌てる声がした。 「そこでなにやってるの?」 語気を強めて言ながら、カーテンへと近づく。 「ちょっと今大事なところだから」 そう答える男子生徒の声。 大事なところってなに? 恋愛のない私にだって、それくらいわかるんだから。 だって、こう見えても私、保健の先生ですから。 知識だけは豊富だからね。 って、そんなこと思っている場合じゃない。 でも、どうしよう。 結局私は、カーテンを開けれないでいた。
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