保健室

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桜田門君が部屋から出ていくと、すぐに私は窓という窓、全てを開けた。 空気の入れ替えをしないと、汚れた空気のままじゃ、お仕事になりませんから。 まったく、今の高校生はなんなのよ。 この女好きの変態野郎。 「ふぅーーーー」 外の空気のおいしいこと。 窓の外は、清々しい風が吹き、初夏のにおいを運んでくる。 桜田門凱・・・。 でも私はそんな彼のことを少し羨ましくも思っている。 彼は自由奔放に恋を楽しんでいる。 まあ、私の理想とはちょっとかけ離れているけど。 いや、かなり違っているよね、うん。 なのに私はまだ恋を知らない。 好きな人はいたけど、付き合ったとかって経験は全くゼロ。 中学時代は、高校受験に向けて勉強、高校時代は大学受験に向けて勉強、大学時代は保健の先生になるため勉強。 結局、私の青春は勉強一色のみ。 じいちゃんもそれを許してくれなかったしね。 とにかく、私の青春はここから始まるのよ。 恋愛だって、今から始まるんだから。
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