保健室

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放課後。 私はまだ保健室にいた。 「ガラッ」突然、ドアの開く音が。 見るとそこには、あの桜田門凱の姿がある。 「今日はすみませんでした」 彼は朝とは違い、素直に謝った。 自分のしたことを反省したらしい。 「ええ、わかったならいいわよ」 なんだ、結構素直なところあるんじゃない。 私だって大人なんだし、謝る態度見せられたら許しますよ、もちろん。 「生意気なこと言って・・・」 「もう、いいわよ」 謝る桜田門君の顔が、夕日に照らされ赤く見える。 「でもさあ・・・」 桜田門君はそう言うと、不思議そうに私の顔を覗き込んだ。 ち、近いわよ、顔。 思わず後ずさる。 「俺、何も悪いことしてないのに、なんで謝らないといけないんだ」 なんだそれっ? こいつ、少しもわかってないの? 「自分がなにしてるかもわかんないの?」 「じゃあ、あんたは俺がなにしてるのか知ってんの?」 こっ、こいつ、絶対わかって聞いてるんだ。 わかって、私をからかって楽しんでるんだ。 こいつ、女癖だけじゃなくて、性格もねじ曲がってるよ。 許せない!! 「しっ、知ってるわよ。ここであなたが何してるかぐらい」 「はははははっ」 桜田門君は声を上げ、笑い出した。
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