第三章

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「おそらく、次期当主という立場が重荷なっていたんだと思います。私がもっと気をかけていれば……」 うなだれるトーマスに国王は、気をかけ言った。 「そう自分を責めるな。まだ死んだと決まったわけでない。しかし2ヶ月経って帰って来なければ、その時は……分かっているな。」 魔界へ入った者は、2ヶ月以内に帰って来なければ死んだ者として扱われる。 「分かっています。その時は、次男を次期当主とします。しかし私は、生きて帰って来ることを信じています。」 そう言うトーマスの姿は、どこから見ても息子を信じる立派な父親だった。 その時、誰も気付かなかった。 トーマスが笑いをこらえていたことに。
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