君を初めて知った日のこと

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晴れて今年の四月に高校生となった俺は、入学式を終えたあと、国立図書館にいた。 学校と家が近いので、念のため着替えてから。 高校の授業についていけるように、参考書などを借りて予習でもしようと思って来たわけだが、ついつい他の本に目が行ってしまい、気づけば本を読みふけっていた。 「えーっと…ここ閉館何時だっけな…。」 時計を見ると4時をまわっていた。 あれ、3時ちょっと前に来たはずなのに…。 まあいいか、時間になれば追い出されるだろうと開き直って、また本に目を戻そうとした時、 「あ!同じクラスの!」 というような、とにかく図書館では静かにしましょうと第一に注意をしたくなるようなバカでかい声を発した奴がいた。 俺を含めて、図書館にいた人達が一斉にそいつの方を見る。 様々な人の視線を受けても、「え、なになに!?」自分のしたことを全く理解できていないそいつがやけに腹立だしい。 つまりはムカつく。 「あ、君だよ君!おーい!」 しかも、あろうことか俺に手を振ってきた。誰だよ。 今度は俺が視線を受ける。 なんとかしろと、人々が目で訴える。 目は口ほどに物を言うとは、一体誰の格言だ? 誉めてやるから出てきてほしい。 とりあえず、彼女の目的は俺のようなので、溜め息をついてから渋々立ち上がり、彼女の前へ早歩きで向かった。 .
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