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エレベーターは三階に到着し開閉ドアが開く
サア降リルヨーと男は扉を抑えた、少年が逃げられないようにか親切心からか不明だがとにかく少年は言われた通りにエレベーターから降りた――
そこには綺麗で清潔な内装が施されボロボロの外観とは遠く離れたまるで病院の待合室のようなものが眼前に広がる。
ワックスが程よく掛かり、天井にワイヤーで吊された蛍光灯の白い光を跳ね返す床に、白を基調にした壁は貼紙も傷もなく、まだ内装されて日が立っないのか微かに建材独特の臭いがした。
それらの空間の真ん中に位置する、海外ドラマのマフィアが腰を下ろしてそうな黒い重厚な一人用の革製のソファーがだいたい30席くらい列ぶ―
少年は心の中でこの色使いどこかで見たような気がしていた、しかし何処で目撃したのか思い出せない…テレビでかなとソファーをもう一度見ても頭には何も浮かばないだったら壁かなと手の甲で叩くも頭にはコンコンと壁を叩く音しか響かない―
最後に天井の蛍光灯を見たが、何にも浮かばずただ眩しい光に目をしょぼしょぼさせるだけで終わった。
どこだったかなーと頭を捻る少年に「オ兄サンコッチコッチヨ!」とヒトゴミが居るであろう大きな声を上げ手も大きく振る。実際ヒトゴミなどいない、大声を出さなくても聞こえてるし手を振る必要もない距離に少年は居たからだ。
少年の歩幅で男の場所まで約10歩、男の歩幅で少年の場所まで約7歩これが二人の離れている距離だ。
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