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ガタンゴトン、ガタンゴトン
揺れる電車、次の駅を知らせるアナウンス、ぎゅうぎゅうに車内に敷き詰められている人間たちの中に俺と中丸もいた。
「うえだ、大丈夫?」
「ん、」
暑苦しい、夏じゃないのに熱帯みたいな車内。
まだジュニアだった頃の、レッスン帰りでたまたまこんな満員電車に乗ってしまった。
このときから、中丸とはそういう関係で…まだグループも結成してない時期で、一緒にデビューしたいねなんて話をしてた気がする。
「、ッ…」
「うえだ?どうした?」
「何でもないよ」
一瞬だけ、人の手が…お尻に触れた気がする。
中丸と付き合って、キスもそういうこともしてからお尻だけじゃなく体に何かが触れることには敏感になった。
あっ、まただ、何かがお尻に触れてる。
やっぱり人の手だと気付くのに時間はかからなかった。
痴漢、だ。
前にも何回かあったことある、だからこうやって中丸と一緒に帰ってるのに中丸の役立たず!
「ふ、っ」
お尻をやわやわと揉みしだかれて、お尻を2つに割られる…いや、最初から尻は2つに割れてるけど…ちょっと、しつこいしズボンの上から孔を擦ってくる。
目の前にいる中丸の服を掴んだ。
「うえだ?」
「なかま、る…」
「…気持ちいいんだ?」
バッと顔を上げるとニヤリと笑ってる中丸の顔が…
「痴漢されて気持ちいいんだ?うえだ、変態」
「な、」
開いた口が塞がらないとは、こういうときに使うんだろう。
驚きを言葉に出来なくて口をパクパクと開けたり閉めたりするだけで、中丸が痴漢…だなんて。
こいつの手掴んで、痴漢だ!って叫んでやろうかとか考えたけど…中丸で良かった。
ほっと安心して中丸にもたれかかった。
満員電車を降りたとき、
「なんであんなことしたんだよ?」
「痴漢ごっこ、したかったんだよね」
「…変態!」
「いってぇ」
「自業自得だ!」
平手を喰らわせると頬を押さえて蹲った中丸。
あぁ、こんなこともあったな…
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