亀梨和也の憂鬱

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俺のイライラはあいつの一言から始まった。 「上ピー、俺いま超いいギャグ浮かんだんだけど聞いてー」 そう言った田口に他の4人の視線が集まる。 コホンと咳払いをした田口は… 「右だ!左だ!上田!」 右を指差して左を指差して、最後に上田を指差した。 …入口出口と変わんねーギャグ、そして全く面白くない。 楽屋の空気が凍りついた。 思わず溜め息がこぼれる。 新曲のPVの撮影が終わったばかりの楽屋、今日の撮りは、N→-T→U→T→Kの順番だったのに一番最後の俺も終わったのに、なんでまだ誰も帰ってない? その理由は聞かなくてもわかるけど…中丸は上田を待ってて、聖は田口を待ってた…そう考えたら納得できる。 「つまんねー」 「えー、そうかなー?」 「俺がすべったみたいだから止めろ」 上田の言葉に傷ついた田口は可哀想なんかじゃない…面白くないから。 「た、たぐちっ!今の…面白かった、ぞ」 聖はただフォローしたんじゃない、田口が上田にばっか絡むから嫉妬して…聖、そんなに田口に構ってほしいんだ。 「ほんと~?俺ってやっぱり才能あるのかなぁ」 「あるある!センスありすぎる!そのセンス分けてくれよ~」 …イライラする。 田口のナルシスト発言も聖の言葉も、イライラする。 「じゃあ帰ってからたっぷりレクチャーするよ~」と言う田口、最後に聖の耳元で何かを囁いていた。 聖はボンッと顔を赤らめて、トマトみたい…あ、俺トマト嫌い。 何を言ったのか聞こえなかったけど、田口が言いそうなことはだいたい予想できる。 .
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