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「なかまるー、帰ろ?」
やっと、衣装を着替えてメイクを落として帰る準備の出来た上田が中丸に声をかけた。
上田は着替えるのとか準備が遅い、中丸はそんな上田を孫でも見るような目で見ていた。
上田が中丸の手を掴んで楽屋を出ようとすると…
「上田、手…」
「だめなの?」
上田の必殺技、うる目で上目遣い。
中丸の奴、鼻の下伸びてる…気持ち悪い。
「誰かに見られたら…マズいから、」
「なんで…?誰かに見られちゃいや、なの?」
余計に涙目になった上田、どこでそんなの覚えてきたんだよ。
「いや、あの…俺は超嬉しいんだけどね?撮られたりしたら、仕事に支障が出たり…する、かもしれないし…ね?」
やっぱりイライラする。
ここ何処かわかってんのかよ!
楽屋だよ!楽屋!
中丸の言ってることは正しいけど…あんなに鼻の下伸はずなよ、仮にもアイドルなんだから。
「ば、ばかかっ!」
今度はいきなり聖の叫び声が響いた。
「かわいー、照れてる~、早く帰ろう!ベッド、ベッド」
ベッド?
あぁそういうことね、さっきの耳打ちはきっと『ベッドで教えてあげる』とか何とか言ったんだろう。
ベッドでも何処でもさっさと行ってください。
そう思いながら、私服に腕を通す。
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