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       タケル 闇がタケルの動力源である怒りを、鮮やかに心・体全てに行き渡らせる。 その目には、暗い光が宿り、全身が怒りに燃え立つ。この感覚は、あの時からずっと消える事は、ない。 しかし、全身に纏った怒りを表面に出す事はしない。 そんな事をすれば、目立ちやすくなる。目立つわけにはいかない。……今は、まだ。 夜の帷は、降りて間もない。 あちらこちらに、カップルや友達同士で声を上げる者達を見かける。 年齢はさまざまだが、流石に幼児や小学生くらいの子供だけというのは見かけない。 渋谷や原宿や新宿・池袋などとは違うせいか。 ……ここは、上野。昼間……とくに休日ならば、逆に子供達の姿が多かったかもしれない。 タケルは、鍛え上げた肉体が良く分かるように、体にピッタリと張り付いているようなTシャツを着て、デニムパンツを履いている。 もちろん、スチールの入ったエンジニアブーツも履いている。 これみよがしに、辺りに視線をやって獲物を待つハンターのような顔をしてみせた。 スケボーは、置いてきた。今回は、スケボーよりも肉体そのものが必要となるからだ。 肉体と腕っぷしに自信はあるが、アイツでも向いているんじゃないのか?と思わなくもなかった。
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