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アイツ。 名前をホウと言う。とあるクラブのDJ・リンのボディーガードをやっていたアイツ。 全身にタトゥが入り、ガタイもいい。腕っぷしもそれなりにいいはずだ。チャカも扱える。 だが、まぁいい。 気に喰わないが、クチナワがタケルに言ってきたのだ。確かに効果がある戦い方を最初に示してきた。それは認めてやる。マッポは嫌いだから手先に成り下がるのは嫌だ。 だから、目的が同じだと思う事にした。 タケルは、ゴキブリ共を一人……いや、一匹でも多く潰したい。 クチナワも同じなのだ。マッポに指図されるのも嫌いだ。だが、効果があるうちは、クチナワのいうチームに使われてもいい、と少しは思っている。 夜の帷が、闇が、一段と濃くなってきた。 そろそろ、現れるだろうか。視線をさりげなく周囲に配ると、それらしき奴が駅方向からやってきた。 金色のメッシュが前髪に入った黒い髪に、これみよがしに、二の腕に入ったタトゥ。服装は、カタギを装おうとしているのか、デニムパンツとノースリーブのデニムベスト。中は、原色Tシャツといったところか。 はっきり言って、ファッションセンスはなさそうだ。 おまけに必死にカタギのような格好をしようとしても、その醸し出す雰囲気は、カタギではない。 タケルには関係ないことだ。ただ、奴には用がある。 奴の視線を意識しながら、絡めそうなガキ共を探し出した。 公園内に絡めそうなガキ共を見つける。奴は、タケルに意識を向けているだろうか。 チラリと奴を一瞥すると、しっかりタケルを見ているのが分かった。 ニヤリとしてから、ガキ共に絡む。意気がっているガキ共に、適当に言いがかりをつけて乱闘に持ち込むのが狙いだった。
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