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ついて回りながら、だいたいの位置確認をしていく。あとでクチナワに報告しなきゃならないからだ。
――チッ。面倒クセェ。
そうは思うものの、仕方ない。あの蛇男に付き従うトカゲには腕力で敵わないし、クチナワが醸し出すあの威圧感にも敵うわけがない。
ならば、大人しくいう事を聞いている方が懸命だった。
「まだかよ。」
タケルは、短気なフリをして聞く。殴り合いたくてうずうずしている。と言外に匂わせた。スカウトが、ニヤッとする。
「焦るなよ。もうすぐだ。ところでお前、どこで話を聞いてきた。」
「色々。クラブとかにも出入りしていたしな。」
「成る程な。優勝を狙うのは構わねぇよ。けどな、俺達が見つけて来る奴らは、皆腕に自信があることを忘れるなよ。」
「フン。俺は逃げ出すことはしないから、安心しろよ。」
「気に入った。」
タケルの返答に、スカウトはまたニヤッと笑った。それから寂れたゲームセンターの中に入る。
「ここ、ゲーセンじゃねぇかよ。」
「表向きは、な。」
――成る程。確かに、如何にもなジムとかでやるのは、見つけてくれ。と言わんばかりか。
タケルは納得する。スカウトに続きゲーセンを通過し、スタッフオンリーのドアを入る。
更に通過すると、地下へ続く階段が見えた。
――地下か。秘密にしておくには持ってこいの場所だな。
あまりにもチープで笑えるが。
スカウトが階段を下りていく。タケルも続けて下りた。
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